火災保険は掛け捨てと積立のどちらが正解か
保険には「掛け捨て」と「積立」という二種類が存在する。一見、「積立」の方が後からお金が戻るので得のようにも思えるしかし、火災保険の正解は『掛け捨て』だ。何故だか解説しよう。
1. 積立と掛け捨ての違い
『掛け捨て』が正解である理解を理解するために、まず『積立』と『掛け捨て』の違いについて確認しておこう。
種類 | 補償内容 | 掛け金 | 満期金 |
---|---|---|---|
積立 | すべて選択可能 | 高い | 有り |
掛け捨て | すべて選択可能 | 安い | 無し |
火災保険に終身という考え方は無く、必ず満期が存在する。その際に、満期金が戻るかどうかが「積立」と「掛け捨て」の大きな違いだ。基本的な違いはこれだけだ。
補償内容には違いが無いが支払う保険料は「積立」の方が圧倒的に高くなる。この違いだけを見ても、あなたは積立の方がよく見えるかもしれない。日本人は貯金する事を美徳と捉える傾向が強いからだ。
しかし、積立のほうがお得だと感じてしまったら大きな間違いだ。
2. 重要なのは『満期金でいくら戻るか』
そもそも、積立の火災保険は何故お金が戻ってくるのだろうか。答えは、あなたが支払う保険金の一部を元手に火災保険会社が『運用』する事により増やしてあなたに還元しているのだ。
大手の火災保険と言えども元手が無くてはお金を稼げない。その為、火災保険の一部を使わせてもらってお金稼ぎをするのだ。『運用』の方法は保険会社により異なり株式であったり、国債であったりと様々だ。
そして、最も重要なのは、火災保険の運用の結果、あなたにいくら戻るかだ。昨今の冷めきった金融情勢はご存知だろう。運用と言っても、大きな金利を生み出せる投資先はそうそう存在しない。しかも、満期にはあなたに必ず満期金を支払わなければならないとなると、リスクが低い物を選ばざるを得なくなる。
そうなってくると、ただでさえ金融情勢が悪く金利が低いのに、低リスクを取ることで更に金利が悪化する。はっきり言って積立にして得られる満期金は全く期待できないレベルだ。
以下のサンプルケースを見て欲しい。積立ができる保険会社と、掛け捨ての保険会社を比較した結果だ。
サンプルケース
項目 | 積立 | 掛け捨て |
---|---|---|
所在地 | 東京都 | 東京都 |
延べ床面積 | 100m2 | 100m2 |
住宅構造 | 木造 | 木造 |
耐火構造等級 | T構造 | T構造 |
建物金額 | 2000万円 | 2000万円 |
補償プラン | 水災以外 | 水災以外 |
免責 | 3万円 | 風災、雹災、雪災のみ10万円 |
地震保険(建物) | あり | あり |
諸費用特約 | 20%300万円限度 | 30%300万円限度 |
地震火災費用特約 | 5%300万円限度 | 5%300万円限度 |
家財保険 | 500万円 | 500万円 |
地震保険(家財) | あり | あり |
満期金 | 50万円 | なし |
5年間保険料 | 約70万円 | 約20万円 |
差し引き合計 | 約20万円 | 約20万円 |
差し引き合計を見ていただければ一目瞭然だ。積立は5年間で20万円の出費に対し、掛け捨てもなんと20万円だ。積立の満期金が返ってきた差し引きトータルと掛け捨ての費用はほぼ同じ額になってしまう。
つまり「積立」を選んだとしても最終的には全く特をしていないのだ。金利が高い好景気ならば積立する事で大きく得をする事が出来た。しかし、昨今の金利では積立をしても全く得にならないのだ。
それだけではない。条件次第では積立が損になることもあり得るのだ。
3. 積立火災保険が損になる可能性
積立保険には、『満期金が貰えない』というケースが存在する。本来貰えるはずの満期金が貰えないと、高額な積立金が一転して高額な保険料になってしまうのだ。具体的に満期金が貰えなくなるケースは以下2つだ。
- 途中解約をする
- 火災保険の効力が無くなる限界まで使用する
3.1 途中解約をした場合
火災保険は家にかける保険だ。あなたの仕事は絶対に転勤はあり得ないといえるだろうか。せっかく建てた家だが転勤などが想定される場合、家を手放す時のことも考えておく必要がある。
掛け捨ての火災保険であれば、満期金がないのでいつ解約しても残期間に応じた保険金が戻るだけだ。これは積立も同じではあるが、積立は「保険金」と「積立金」で構成されている事に注意が必要だ。
「保険金」は掛け捨てと同じで部分で、残期間に応じた保険金が払い戻される。
しかし、「積立金」はそうはいかない。ほとんどの積立型火災保険には、『満期にならないと全額払い戻されない』という文言が契約に盛り込まれている。全額を取り戻すには満期まで支払い続けなければならないのだ。満期以外で解約してしまうと、多くても『積立金の半額程度』しか払い戻されないのだ。
先ほどの5年契約で火災保険契約から2年後に解約し、払い戻しを受けた場合をシミュレーションしてみよう。
5年契約を2年目でい戻した例
保険料等 | 積立 | 掛け捨て |
---|---|---|
5年間保険料 | 70万円 | 20万円 |
払い戻し金 | 31万円 | 12万円 |
支出総額 | 39万円 | 8万円 |
積立を途中解約することの恐ろしさがお分かり頂けただろうか。なんと積立が掛け捨てに比べて支出総額が31万円も高くなってしまっている。途中解約をしてしまうと積立は大きく損をしてしまうのだ。
3.2 火災保険の効力が無くなるまで使用する
火災保険は火災が起こった時の損害を補償するのが仕事だ。だが、「積立」タイプの保険の場合、「火災保険を火災保険として使用する」と不幸が起こるのだ。どういうことだろうか。
保険は一定の割合を使用するとその効力がなくなり保険が消滅してしまう。おおよその火災保険では「8割」に設定されている。
「8割」を超える損害が出た場合、火災保険を使用して補填してもらうと、火災保険は効力を失い、なくなってしまうのだ。なんと積立型の火災保険の場合、その時点で保険は終了となり満期金がおりなくなってしまうのだ。
こうなってしまうと、火事の被害を保険金で補填できたとしても、満期金が失われることで大きく損をしてしまうことになり、火事でつらい思いをしている最中に更に辛い気持ちになってしまうこと請け合いだ。
5年契約の2年目で全損の火事で保険を使用した例
保険料等 | 積立 | 掛け捨て |
---|---|---|
5年間保険料 | 70万円 | 20万円 |
支払い保険金 | 2500万円 | 2500万円 |
支出総額 | 70万円 | 20万円 |
上記の例の通り、全損となると支払った保険料にかかわらずすべての保険が消滅し満額金もおりない。この場合の支払保険料の差は恐るべき50万円だ。まさに満額金のすべてが失われ掛け捨てとの差になってしまっている。
ここまでで、積立火災保険がいかにメリットのない保険かどうか理解頂けただろうか。
積立式の火災保険は景気の良い時代にはそれはすばらしい保険であった。満期金が今の何倍もあり、更に火災保険会社の運用成績が良ければ上乗せして返ってくる時代があった。
しかし今は不景気の時代だ。利回りに期待することはできず、損をする可能性に怯えて暮らすしかない。
唯一の希望は、上記は私が火災保険に入る際に調べた金額だということだ。
火災保険は家の立地や設備により保険金額が違う。あなたの条件で調べると別の結果になることも無いわけではないと言うことだ。
4. 本当に積立が損かは自分で見積りをとって比べてよう
火災保険保険は家の所在地、構造、はたまたホームセキュリティの有無など様々な要素により保険金額が変わってくる。これまで紹介した例はあくまで私が火災保険に入る際に検討した際のデータだ。
あなたの条件で火災保険に加入する場合、積立が大きく得をするプランになる可能性も残されている。積立が得にならない可能性は高いが一度自分の目で見極めてみるのが良いだろう。その結果、積立が高く、掛け捨てで良いと判ればあなたの悩みも解消だ。
火災保険を効率よく比較するためには複数の保険会社から同時に見積りを請求する必要がある。私のおすすめは価格.com火災保険
だ。

価格.com火災保険
なら、積立を扱っている損保ジャパン日本興亜の他、様々な掛け捨ての火災保険見積りが一度に入手できる。

私自身も火災保険保険を選ぶ際に価格.com火災保険を利用させて貰った経緯がある。その際の話は以下で紹介している。あなたが火災保険選びに迷っているのであれば、とても役に立つはずだ。
火災保険は掛け捨てと積立 まとめ
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積立と掛け捨ての違い
積立は保険料が高いが満期金がある。掛け捨ては保険料が安いが満期金はない。
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満期金でいくら戻るかが重要
金融情勢が良くない今は満期金が出ても積立と総支払額は変わらず得にならない。
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積立は損になる可能性がある
途中解約してしまうと満期金が大きく目減りするので掛け捨てに比べて大きく損になる。
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本当に積立が得にならないかはあなたの条件で見積もらないとわからない
火災保険は家の環境次第で値段が大きく違う。価格.com火災保険で一括見積り取得をして、あなたの家の条件で金額を比較してみると良い。